弁護士費用が紛争になったら?フィリピン最高裁判所の判例から学ぶ適切な弁護士費用の決定方法

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弁護士費用が紛争になったら?量子 meruit の原則

G.R. No. 128452, 1999年11月16日

弁護士費用を巡る紛争は、残念ながら珍しいことではありません。特に、弁護士との間で明確な契約書がない場合や、事件が長期化・複雑化した場合には、弁護士費用の金額を巡って依頼者と弁護士の間で意見の相違が生じることがあります。本記事では、フィリピン最高裁判所の判例であるCompania Maritima, Inc. v. Court of Appeals事件を基に、弁護士費用が紛争になった際の解決の糸口となる「量子 meruit(quantum meruit)」の原則について解説します。この原則は、契約書がない場合や、契約書で定められた弁護士費用が妥当でないと判断される場合に、弁護士の貢献度に応じて合理的な費用を算定するための重要な基準となります。

弁護士費用の算定基準「量子 meruit(quantum meruit)」とは?

フィリピン法において、弁護士費用は、原則として依頼者と弁護士の間の契約によって定められます。しかし、契約書が存在しない場合や、契約内容が不明確な場合、あるいは契約された費用が著しく不当であると判断される場合には、「量子 meruit(quantum meruit)」という原則に基づいて弁護士費用が算定されます。量子 meruit とは、ラテン語で「相応の価値があるだけ」という意味で、弁護士が提供したサービスの合理的な価値に基づいて費用を決定する考え方です。この原則は、弁護士が正当な報酬を得られるように保護すると同時に、依頼者が不当に高額な費用を請求されることからも保護する役割を果たします。

フィリピン最高裁判所は、弁護士費用の量子 meruit に基づく算定において、以下の要素を考慮すべきであると判示しています。

  1. 弁護士が事件に費やした時間とサービスの範囲
  2. 事件の新規性と難易度
  3. 事件の重要性
  4. 要求される弁護士のスキル
  5. 事件受任によって他の仕事の機会を失う可能性
  6. 訴訟で争われた金額と依頼者が得た利益
  7. 報酬の確実性
  8. 雇用形態(常勤か非常勤かなど)
  9. 弁護士の専門的地位

これらの要素は、弁護士の貢献度を多角的に評価し、個々の事件の特殊性を考慮して、公平で合理的な弁護士費用を決定するために用いられます。

Compania Maritima 事件の概要:弁護士費用515万ペソが争点に

本件は、弁護士エクゼキエル・S・コンサルタ氏が、Compania Maritima, Inc.ら(以下「 petitioners 」)に対して、過去に受任した3つの訴訟事件に関する弁護士費用を請求した事件です。 petitioners は、コンサルタ弁護士に一部費用を支払ったものの、残額の支払いを拒否したため、訴訟に発展しました。

事件の経緯は以下の通りです。

  1. petitioners は、Genstar Container Corporation から訴訟を提起され、所有する船舶等の資産が差し押さえられる危機に瀕しました。
  2. petitioners は、コンサルタ弁護士に以下の3つの事件を依頼しました。
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